護岸の整備で着目した関係要素とその検証

提供: 河川生態ナレッジデータベース

目次

着目すべき応答関係についての知見

護岸の整備において着目すべき応答関係の、要素、内容、指標値、応答関係の概説は表のとおりである。

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A:護岸構造流速・水深の関係

(1) 概要

 護岸整備における検討パターンとした「植栽・伝統工法」「自然」「ブロック等埋め込み」が、水理学的にみてどのような違いがあるか、対極的に把握するための材料

(2) 引用する定量的な知見

 護岸構造流速・水深の関係(出典番号1-④)

(3)関係図

 現地調査の結果、「植生河岸」「入り組み河岸」「コンクリート河岸」では、護岸付近の流速・水深の関係が異なることがわかっている。この河岸を、検討する以下のパターンと同様と仮定し、それぞれの関係を同軸上で整理した。

  • 植生河岸:植栽・伝統工法(パターン1)
  • 入り組み河岸:自然工法(パターン2)
  • コンクリート河岸:ブロック等埋め込み工法(パターン3)

 出典番号1-④にあるプロット点の各値を読み取り、同軸上に図化するとともに、その相関関係を算出した(図-1)。護岸パターンごとにばらつきがあるほか、相関関係も低い。
 この関係を水深・流速ともに無次元化し関係性を見た(図-2)。無次元化は各平均値との比率(各値/平均値)により算出した。その結果、植生河岸(植栽・伝統工法)と入り組み河岸(自然工法)ではほぼ同程度の分布領域となり、自然による護岸工法が自然河道に多く見られる植生河岸と類似する物理特性を有することとなった。

(4) 課題

 護岸の違いを水理学的にみて大局的に分類するための方法である。より定量的な判断材料は次項以降に整理する。





B:護岸構造魚類の生息可能領域(流速)の関係

(1) 概要

 護岸のパターンと魚類の生息可能性の関係を流速との関係から定量的に分析

(2) 引用する定量的な知見


(3) 関係図

 特定の魚類では、生息に必要な流速・水深が知見として蓄積されている。ここで、河岸付近に生息するオイカワ流速特性を体長と巡航速度(魚類が長時間遊泳できる流速)に関する既存知見(巡航流速=体長×n、n:2~3とされるがここでは3として整理)から整理し、この値を2.1で読み取った関係図上にプロットし、護岸パターンごとの生息可能領域を算出した。ここに、オイカワの体長は、幼魚(5cm)、成魚(10cm)および特大成魚(15cm)とした(図-1)。その結果、植栽・伝統工法(植生河岸)、自然工法(入り組み河岸)はともに幼魚(5cm)が生息可能な領域として50%前後を提供可能とするが、ブロック等埋め込み工法(コンクリート河岸)では生息ができないこととなった。なおブロック等埋め込み工法(コンクリート河岸)では特大成魚であっても34%程度しか生息場を提供できない。

(4) 課題

 上記の前提条件として以下がある。この前提条件が確保されたものであるか確認が必要である。

  • 計測された流速護岸形状それぞれ同一の流量であること
  • 護岸形状の関係を表すプロット数はほぼ同じであること
  • 巡航流速=体長×n、n:3(オイカワに関する知見より)の妥当性
  • 入り組み河岸の表面凹凸状態は空積み護岸とほぼ同等であること
  • コンクリート護岸の表面凹凸はブロック護岸とほぼ同等であること





C:護岸構造魚類の生息可能領域(流速)の関係

(1) 概要

 護岸のパターンと魚類の生息可能性の関係を水深との関係から定量的に分析

(2) 引用する定量的な知見

 護岸構造流速・水深の関係(出典番号1-④)
 ※正常流量検討における魚類から見た必要流量について(河川における魚類生態検討会)

(3) 関係図

 知見として整理されているオイカワの生息における必要水深(10cm:産卵・移動時)を、2.1で読み取った関係図上にプロットし、護岸パターンごとの生息可能領域を算出した(図-1)。その結果、すべての護岸パターンにおいて70%以上の生息可能領域を提供することが可能と分析した。これより、魚類によっては水深が護岸パターンによる生息の違いを評価する指標にならない可能性がある。

(4) 課題

 上記の前提条件として以下がある。この前提条件が確保されたものであるか確認が必要である。

  • 計測された水深は護岸形状それぞれ同一の流量であること
  • 護岸形状の関係を表すプロット数はほぼ同じであること
  • 必要水深に関する知見にばらつきが少ないこと
  • 入り組み河岸の表面凹凸状態は空積み護岸とほぼ同等であること
  • コンクリート護岸の表面凹凸はブロック護岸とほぼ同等であること




引用文献

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