生物多様性

提供: 河川生態ナレッジデータベース

Category:河川用語集

 生物多様性国家戦略2012-2020(平成24年9月28日閣議決定)による生物多様性の説明を以下に転載する。
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 生物多様性条約では、生物多様性をすべての生物の間に違いがあることと定義し、生態系の多様性、間()の多様性、内(遺伝子)の多様性という3つのレベルでの多様性があるとしています。
 生態系の多様性とは、干潟、サンゴ礁、森林、湿原河川など、いろいろなタイプの生態系がそれぞれの地域に形成されていることです。地球上には、熱帯から極地、沿岸・海洋域から山岳地域までさまざまな環境があり、生態系はそれぞれの地域の環境に応じて歴史的に形成されてきたものです。一般的に生態系のタイプは、自然環境のまとまりや見た目の違いから区別されることが多いといえますが、必ずしも境界がはっきりしているものではなく、生物や物質循環を通じて相互に関係している場合も多いといえます。また、里地里山のように二次林、人工林、農地、ため池、草原などといったさまざまな生態系から構成されるモザイク状の景観をまとまりとしてとらえ、生態学の視点から地域における人間と環境のかかわりを考えていくことも行われています。
 の多様性とは、いろいろな動物・植物や菌類、バクテリアなどが生息・生育しているということです。世界では既知のものだけで約175 万が知られており、まだ知られていない生物も含めると地球上には3,000 万とも言われる生物が存在すると推定されています。また、日本は南北に長く複雑な地形を持ち、湿潤で豊富な降水量と四季の変化もあることから、既知のものだけで9万以上、まだ知られていないものまで含めると30 万を超える生物が存在すると推定されています。加えて、わが国の生物相は他の地域には見られない固有種の比率が高いことが特徴ですが、わが国の生物相の保全を考えていく際には、数や個体数だけに着目するのではなく、の固有性を保全していくことが重要です。例えば、2011 年6月に小笠原諸島が、わが国では4番目となる世界自然遺産に登録されましたが、これは陸産貝類をはじめ、独特の進化の過程を示すさまざまな分化が見られる点が評価されたものです。しかし、このような世界的に重要な地域においても、クマネズミやグリーンアノール、アカギ等の外来種が入り込み、小笠原諸島にしかいない固有種等の生息・生育地を脅かすなどその影響が問題となっています。
 遺伝子の多様性とは、同じであっても、個体や個体群の間に遺伝子レベルでは違いがあることです。例えば、アサリの貝殻やナミテントウの模様はさまざまですが、これは遺伝子の違いによるものです。メダカやサクラソウのように地域によって遺伝子集団が異なるものも知られています。なお、メダカは、遺伝的に大きく北日本集団と南日本集団に分かれており、2011 年には北日本集団が新として記載されましたが、南日本集団は遺伝的に複数の地域集団に分けられることが知られています。
 このように自然界のいろいろなレベルにおいて、それぞれに違いがあること、そして何より、それが長い進化の歴史において受け継がれた結果として、現在の生物多様性が維持されています。生物多様性の保全にあたっては、それぞれの地域で固有の生態系や生物相の違いを保全していくことが重要です。

出典:生物多様性国家戦略2012-2020(平成24年9月28日閣議決定)

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