環境指標

提供: 河川生態ナレッジデータベース

Category:河川用語集

 環境の状況を測り、表現するための尺度。環境問題に関連した計画・事業の進行状況や目標の達成状況を表す尺度、環境への負担の程度を表すための尺度も、環境指標に含められる。大気汚染や水質汚濁物質の濃度、緑地率など生活の快適さに関わる土地利用に関する尺度、廃棄物の排出量やリサイクル率など人間活動の環境負荷に関する尺度などは、いずれも環境指標である。いずれの指標も、多面的で、かつそれぞれの理解に専門的な知識を要する環境の全体または特定の一部分の状況を、できるだけ単純な形で表現することにより、環境の評価やモニタリング環境問題に関連する計画・施策の立案、市民への情報提供や啓発、関連する事業への市民参加の促進などに役立てることを目的とする。

 生物学の文脈では、生物の生息状況に基づき、生物の生息に関わる環境条件を把握し表現するための尺度を、環境指標とよぶことが多い。こうした環境条件と密接に関連して生息・生育状況が変化する生物(指標生物または指標種)を環境指標とよぶこともある。河川において水質が悪化すると、汚濁した水中でも生存が可能なを残して、他のはその場所から消滅する。底生動物や付着珪藻類では、主要な水質の悪化に対してどの程度の耐性をもつか把握されているため、これらの生物を調査して組成を把握することにより、水質の悪化の程度を知るための環境指標(水質汚濁指標)の値を得ることができる。同様に、植物を用いて肥妖度などの土壌条件を推定する、あるいは地衣類を用いて大気汚染の程度を推定するための指標などが考案されている。これらはいずれも生態学的な環境指標である。

 こうした環境指標は、理化学的な手法による環境条件の測定値(たとえば、COD=化学的酸素要求量など)としばしば比較されてきた。一般的に、生態学的な環境指標は、複数の環境条件の総合的な効果を反映するとされ、また生物の生育・生息期間に対応した長期的環境条件の累積効果を示すといわれている。 水質汚濁、大気汚染といった環境悪化の特定な側面ではなく、自然環境の変化を総合的に把握するための環境指標を作成する試みもある。各の生物の生息状況を調べ、その多様性や組成に基づき自然環境の善し悪しを総合的に評価しようというものである。現時点では、組成に基づく環境指標として一般的に利用されているものはまだなく、多変量解析による組成の比較により相対的な評価が行われているにとどまる。一方で、の多様性、たとえば一定条件下での数を自然の豊かさの指標とする事例は多い。絶滅危惧種や危急、希少に着目して、それらが多数生息することが自然の豊かさや生物生息地としての重要さを示すとする場合もある。

出典:巌佐庸・松本忠夫・菊喜八郎・日本生態学会 編(2003)生態学事典, 共立出版

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