ミズスマシ

提供: 河川生態ナレッジデータベース

生物用語集Category:生物用語集:水生昆虫類

目次

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分布・形態

分布

  • 本州、四国、九州に分布する。

形態

  • 成虫の特徴:体長約6~7㎜。体全体が黒くて艶がある。体は流線型でいかにも目まぐるしい速さで泳ぐのにふさわしい形をしている。前肢は長くて獲物を捕らえるのに適した形となり、中肢と後肢は短くて平たくなり、水をかく櫂の役目をしている。
  • この仲間の大きな特徴は上と下に分かれた複眼で、上方部は水面上に、また下方は水面下に位置している。後肢はよく発達していて、水槽で飼っていると逃げてしまう。
  • 幼虫の特徴:幼虫は腹部の両側に長い毛状の鰓があって、呼吸と運動を助けている。
  • 幼虫の大顎はゲンゴロウに似て鋭く、内側に管があって、捕らえた小動物の体液を吸収するのに適した構造となっている。

類似

  • オオミズスマシ(Dineutus orientalis)とよく似ているが、体が小さく、体色が異なり、さやばねの先が丸くなっていることで区別できる。
  • オオミズスマシの体色は黒く青みがかった銅色に光り、前胸とさやばねの大部分の縁は黄白色に縁取られている。また、さやばねの先が尖っている。

  (2011.1.24._川口(RFC)_リバーフロント整備センター編(1996)川の生物図典)

生活史

生活サイクル

  • 春から夏にかけて産卵し、12日間位で孵化する。幼虫期間は20日間位で、成長した幼虫は水草を這い上がり、土中などに土繭を作って蛹になる。蛹の期間は10日間位である。成虫は土中、枯れ草の下などにもぐって越冬する。

生息場所

  • 池沼・水田・小川などの一般に流れの緩やかな浅い場所に生息している。

習性

  • 高速度で旋回しながら、衝突もしないで群を作って泳ぐ。ミズスマシは空中を見るのに適した上半分と、水中を見るのに適した下半分とに分かれた複眼を持っている。複雑な旋回運動で泳ぎながら一定の位置を保っていることは、運動と視覚との間にかなり優れた調整が行なわれていることがわかる。また、水中を潜ることも上手である。ミズスマシは捕食者の嫌がる乳状の液を分泌して体を守っている。

  (2011.1.24._川口(RFC)_リバーフロント整備センター編(1996)川の生物図典)

繁殖

  • 成虫で越冬したミズスマシは、春になると水草に卵を一直線に数個ずつ産みつける。卵は長径約1.5㎜で長い。

  (2011.1.24._川口(RFC)_リバーフロント整備センター編(1996)川の生物図典)

食性

  • 成虫は主に水面に落ちてきた小さな昆虫などを前肢で捕らえて食べる。幼虫は水中でボウフラ、アカムシなどを捕らえて体液を吸って育つ。
  • 幼虫は肉食性であるため、他の幼虫に襲われたり、まわりに獲物が少ないと共食いを始める。

  (2011.1.24._川口(RFC)_リバーフロント整備センター編(1996)川の生物図典)

配慮のポイント

  • 水質汚濁に留意する。また、幼虫の生息場所として、流れがない水生植物が繁茂した空間が必要。
  • ミズスマシはを利用して、土繭を作り蛹になるので河岸に土が必要である。
  • この水生昆虫は垂直な護岸は登れないため、緩傾斜にする必要がある。
  • 近年、ウンカやヨコバイなど害虫の脱皮や変態を阻害する薬(昆虫成長制御剤)が人にとって無害な農薬として市販・使用されているが、これらの薬の多用は、ミズスマシなど水生昆虫への影響が懸念される。

  (2011.1.24._川口(RFC)_リバーフロント整備センター編(1996)川の生物図典)

トピックス

  • アメンボとともに水面にすむ代表的な水生昆虫であるが、近年、身近な場所ではその姿が見られなくなった。

【ミズスマシの飼育から】

  • 幼虫は土繭を作り蛹になる。その土繭づくりの様子はとても面白い。
  • まず、頭でをすくって背に乗せると、水槽や植木鉢の壁とか草の茎や葉に移動し、背のを材料にして繭を作る。繭は長径約7㎜、短径約4㎜の楕円形である。繭を作って10日間から2週間位たつと羽化し、の繭を破って外に出てくる。

  (2011.1.24._川口(RFC)_リバーフロント整備センター編(1996)川の生物図典)

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