ハス

提供: 河川生態ナレッジデータベース

生物用語集Category:生物用語集:魚類

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分布・形態

分布

  • 琵琶湖淀川水系と福井県三方湖水系に天然分布する。近年、コアユの放流にともなって、北海道と沖縄を除く各地の河川や湖沼で記録されるようになった。国外では朝鮮半島、アムール川水系、中国の長江水系以南、海南島に分布する。


形態

  • 全長約300㎜。体は細長く、側扁している。生体では背側は青みを帯びているが、体側と腹側は銀白色である。大きな「へ」の字形をした口吻を持っている。体側には下方に湾曲した側線があり、鰓蓋の直後から尾柄まで連なっている。


類似

  • 背鰭基底が短く、臀鰭が、腹鰭より大きいので、オイカワカワムツに似ている。猛禽類を思わせる鉤のある口吻(「へ」の字型)なので一見して区別できる。

  (2011.11.17._川口(RFC)_リバーフロント整備センター編(1996)川の生物図典)

生活史

生活サイクル
ファイル:330_hasu_1.JPG

生息場所

  • 大きな遊水池、ダム湖、湖沼と結合した河川または大型河川に生息する。
  • 河川での行動範囲は、オイカワ属のものに似ているが、やや深い場所に偏る傾向がある。
  • 全国各地の河川に移入されたハスが、その後生き長らえてしだいに増殖するためには、稚魚期にプランクトン動物が十分に供給されることが必要である。このような餌条件を満足させる生活域は、大きな遊水池やダム湖・天然湖と結合した河川か、流域の広い大型河川以外にはない。水量が貧弱な小河川ではハスは生息できない。
  • 琵琶湖では、前期仔魚砂礫内に潜み、後期仔魚は湖岸のやや沖合の表層を群れて泳ぐ。稚魚期にはほとんどすべての個体が流れのある湖岸の底部(水深3m以浅)に集まり、ミジンコ類を食べる。成魚は湖のほぼ全域に分布し、群れで遊泳している。一般に夏季は表層近くに多く、魚を追って水面上に現れ、ボートに飛び込むこともある。アユを追って変水層に入ることもある。冬季は中層以深に生息する。
  • 琵琶湖における標識放流の結果から、約1カ月で湖全体に分散することが判明し、行動範囲が相当に広いことが明らかになった。
  • 夏季は表層に、冬季は深みに移る。

  (2010.11.17._川口(RFC)_リバーフロント整備センター編(1996)川の生物図典)

繁殖

  • 産卵期:5月下旬~7月中旬で、8月中旬までのびる年もある。
  • 産卵場所:澄んだ流れの水深5~20㎝程度の砂礫底、底。湖岸(沖の島)、姉川、安曇川、野洲川(琵琶湖)、鮒川(三方湖)。
  • 産卵床:中。
  • 卵:球形で、直径は1.3~1.6mm。
  • 孵化日数:水温21~24℃で、約56~72時間で孵化する。
  • 産卵行動:昼間、並んだ雄が臀鰭で雌の肛門を包むようにして、産卵・放精する。
  • 二次性徴:雄は雌より大型で、各鰭が大きい。生殖期には臀鰭が特に大きくなる。
  • 追星:生殖期の雄の頭部全面、尾の付け根、臀鰭に追星が出現する。
  • 婚姻色:雄の眼の下、鰓ぶた、腹面が淡赤紫色、鰭は淡紅色になる。背鰭の各膜の黒色斑点が明瞭になり、全体として1列に並ぶ。鰓ぶたの後方には藍色の横帯ができる。

  (2010.11.17._川口(RFC)_リバーフロント整備センター編(1996)川の生物図典)

食性

  • 日本産淡水魚類中唯一の魚食魚。稚魚はミジンコ、ケンミジンコ類、特にミジンコ類を専食する。
  • 体長が70mmまでは動物プランクトンを食べ、浮遊中の水生昆虫が混じることもある。100mmを越えると、エビ、小魚が混じり、160~180mm以上ではエビ、魚に限られ、胃内容物の90%を魚類が占める。アユオイカワ、ヨシノボリ類、コイ・フナ類の稚魚などほとんどの魚を食べる。産卵期には雌雄ともにあまり餌をとらない。

  (2010.11.17._川口(RFC)_リバーフロント整備センター編(1996)川の生物図典)

配慮のポイント

  • ハスは琵琶湖のコアユやフナ類の統一にともなって各地に広がり、現在では北海道と沖縄を除く国内すべての河川で記録されている。ハスは魚食性ということで、侵入した各地で在来の魚類相への悪影響が懸念されている。

  (2010.11.17._川口(RFC)_リバーフロント整備センター編(1996)川の生物図典)

トピックス

  • 関西では、オイカワをハス、ハスをケタバスとよんで区別している。
  • 口の傾きは、魚食性が強くなるにしたがって極端になる。この口の形態は捕らえた魚を逃さないための適応と考えられている。
  • 塩焼き、なれ寿司にして賞味する。春から夏が旬である。
  • 漁法は地曳網が主で、投網、刺網のほかに、ルアーによる釣りも行われる。

  (2010.11.17._川口(RFC)_リバーフロント整備センター編(1996)川の生物図典)




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