シオカラトンボ

提供: 河川生態ナレッジデータベース

生物用語集Category:生物用語集:水生昆虫類

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写真



分布・形態

分布

  • 北海道、本州、四国、九州に分布し、壱岐、対馬などの離島にも広く分布。


形態

  • 成虫の特徴:雌雄とも腹長約33~40mm、後翅長雄約43mm。わが国では最もポピュラーに産するなじみの深いトンボで単にトンボといえば通じるほど代表的な類でもある。基本的には黄褐色の地に黒色の斑紋があるが、成熟すると雄は黒化して翅胸および腹部の背面に白色の粉を生じて俗にいうシオカラトンボとなる。雌はやや緑がかって俗称ムギワラトンボの典型的色彩を装う。雌は通常、成熟しても体色がほとんど変わらず白粉を生じないが、稀に雄と同じように白粉を帯びる個体も見られる。雌は複眼が雄のように蒼色でなく緑色をしている。
  • 幼虫の特徴:体長約19~25mm、頭幅約5~6mm。黄褐色ないし濃褐色をした多毛で典型的なシオカラトンボ型のヤゴ体形は、同属のものに酷似しているが、背刺がないため簡単に他と区別できる。一見、オニヤンマを思いっきり寸づまりにしたような外見を呈している(俗にシオカラトンボ型と呼ばれている)。


類似

  • 幼虫はヨツボシトンボ属(Libellula Linnaeus)に類似しているが、ヨツボシトンボ属の幼虫は複眼の突出が弱く、シオカラトンボ属の幼虫に比べてやや小型である。

  (2010.12.27._川口(RFC)_リバーフロント整備センター編(1996)川の生物図典)

生活史

生活サイクル
ファイル:248_shiokaratonbo_1.JPG

  • 成虫期は東海地方で4月中旬~10月中旬、高地では3月下旬、沖縄では2月末から現れる。

生息場所

  • 主に平地や丘陵地、低山地の水生植物の繁茂する池沼や湿地の水たまり、水田、溝川などの広範な止水域に生息し、各地にもっとも普通に見られる。公園の池など人工的な水域にもすむ。
  • ときには土砂崩れで新しくできた浸出水の水たまりなどにも生息している。そしてその面積も数十cm2位の小さいものまである。基本的には流水に生息することはないが、ジャリ穴等静水面を有する場所では生息していることも多い。

習性

  • 羽化はおおむね夜間に水生植物の茎や水面から突き出た杭、護岸壁などに定位して行ない、羽化し終えた新成虫は夜明けを待って飛び立っていく。未熟な個体は羽化水域を離れて各地に分散し、しばしば丘頂の空き地やすその草原で見られる。成熟した雄は水辺の地面やの上、杭の先などに静止して縄張りを占有する。
  • 縄張りを作る場所は必ずしも水場に限定されず、ごく一部には水場から少し離れた空き地も利用される。しかし、そのような場所では占有性は水域に比べてずっと低くなる。

  (2010.12.27._川口(RFC)_リバーフロント整備センター編(1996)川の生物図典)

繁殖

  • 交尾は近くの草や地面にとまって行なわれる。受精した雌は、単独で植物のある浅い水域を選んで連続打水産卵する。このときに腹部第8節の広がりが、水とともに卵を跳ね飛ばして卵を分散させる役割をになっているものと考えられる。

  (2010.12.27._川口(RFC)_リバーフロント整備センター編(1996)川の生物図典)

食性

  • 幼虫・成虫とも、普通は自分より小さな小動物を食べる肉食性(トンボの幼虫はすべて肉食性である)。

  (10.12.27._川口(RFC)_リバーフロント整備センター編(1996)川の生物図典)

配慮のポイント

  • 幼虫の生息場所として、流れの緩やかな底、水際水生植物等は1つのユニットとして大切である。
  • 水草や木の枝やなど、多様な環境が羽化するために必要な条件である。
  • シオカラトンボはBODで10㎎/l以上の、かなり汚濁の進んだ水域でも生息できる。

  (2010.12.27._川口(RFC)_リバーフロント整備センター編(1996)川の生物図典)

トピックス

  • 【トンボ暦】
  • 日本に分布するトンボのうちで、もっともポピュラーに見られ、生物季節の観測にも指定されているシオカラトンボは、九州南端の大隅半島などでは3月初旬から羽化しはじめ、本州中部の三重県あたりでぼつぼつ姿を見せはじめる4月初旬には、交尾・産卵期を迎えている。
  • 一方、山間の寒冷地や北海道などで、シオカラトンボが出現するのは5月も半ばを過ぎた頃である。シオカラトンボの出現期の北上を「トンボ前線」という言葉で表現すると、「トンボ前線」が日本列島を縦断するのに2カ月以上を要する。

  (2010.12.27._川口(RFC)_リバーフロント整備センター編(1996)川の生物図典)

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