ゲンゴロウ

提供: 河川生態ナレッジデータベース

生物用語集Category:生物用語集:水生昆虫類

目次

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分布・形態

分布

  • 北海道、本州、四国、九州に分布する。

形態

  • 成虫の特徴:体長約35~40㎜。背が緑色を帯びた黒色で、まわりは黄褐色に縁取られている。体は全体的に水中生活に適するよう油がにじみ出てなめらかな流線型、後肢は平たく幅広く内側に毛列があって、泳ぐときには左右の肢をいっしょに動かしオールの役目をする。後肢は前・中肢より長く、長い毛がはえている。
  • 幼虫の特徴:体長約76~85㎜。頭部と胸背板は褐色および黄褐色で小黒色斑点を散布し、その一部は集合して斑紋を表す。幼虫は舟形で細長く、肢をオールのように使う。幼虫の頭にはかま状の大きな顎がある。
  • 幼虫は、ガムシの幼虫に似ている。

類似

  • 日本には100類程度が知られている。ゲンゴロウ類はゲンゴロウのように大型のものもあるが、体長が20㎜以下の小型のものが類・数とも多く見られる。また、ゲンゴロウの幼虫はみなよく似ており区別は困難。
  • 成虫は一見してガムシに似るが、識別は容易である。

  (2011.1.24._川口(RFC)_リバーフロント整備センター編(1996)川の生物図典)

生活史

生活サイクル

  • 5~6月頃産卵し、産卵から約2週間後孵化する。1齢から終齢(3齢)までの幼虫期間は約40~50日程度で、河岸に這い上がり土中に蛹部屋を作る。2週間程度で羽化し水中生活を始める。成虫は水草の間などで越冬を行なう。

生息場所

  • ゲンゴロウ類は浅くて、水生植物がよく繁茂した池沼・川・用水路・水田・湿地などに生息している。

習性

  • ガムシに比較して、泳ぎが非常にうまい。尾端を水面から突き出して上翅をやや持ち上げ、腹部と上翅の間に空気をためる。腹部の後方にある気門は特に大きく、空気を体内に急速に送り込むことができる。空気をたくわえると再び水中に潜る。これはあたかも酸素ボンベに酸素をつめかえて潜水作業をする光景に似ている。

  (2011.1.24._川口(RFC)_リバーフロント整備センター編(1996)川の生物図典)

繁殖

  • 成虫は水温が23~25℃(3~4月頃)まで上昇してくると交尾する。
  • 交尾の方法は、雄が雌の背に乗り前肢の吸盤を雌の前翅の縁にひっかけ、体を固定させて交尾する。交尾が行なわれるようになってから、雌は水草の茎をかじるようになる。産卵は5月中旬~6月初旬に水草の茎に口器で直径4㎜ほどの円形の穴をあけ、その中1~2卵ずつ産みつける。
  • 卵は長楕円形(1.3×12.8㎜)で、孵化日数は15日程度である。

  (2011.1.24._川口(RFC)_リバーフロント整備センター編(1996)川の生物図典)

食性

  • 幼虫の頭には、かま状の大きな顎があり、その中には食道に通じる管がある。幼虫はオタマジャクシや小魚をこの大顎で捕らえるが、その際、この管を通して中腸から消化液を大量に注入する。獲物の体はこの消化液で溶かされやがてスープ状になって、すべて吸い取られてしまう。後には獲物の皮だけが残される。
  • 成虫の大顎には幼虫にあたるような巧妙な仕掛けはなく、普通の肉食昆虫と同じく、水生昆虫などの獲物の肉をかじりとって食べる。

  (2011.1.24._川口(RFC)_リバーフロント整備センター編(1996)川の生物図典)

配慮のポイント

  • 近年、農薬、水質汚濁等の影響によりゲンゴロウの数は急速に減少した。
  • ゲンゴロウの生息環境にとって、水生植物は非常に重要である。また、幼虫は水辺に這い上がって土中に蛹室を作るため、水域陸域連続性を維持することが必要である。

  (2011.1.24._川口(RFC)_リバーフロント整備センター編(1996)川の生物図典)

トピックス

  • カエルなどの捕食者に捕らえられると悪臭のする液を胸から放出し、また、体の後端にある腺からはアンモニアの臭いのする黄色い液を分泌する。
  • 源五郎の民話に出てくるように、昔から池の虫として親しまれてきたゲンゴロウは食用にもされている。中国では油であげて食べるというし、日本でも東北地方などではつけ焼きなどに、また長野などでは、動物蛋白源として翅と頭を取り除いて油で炒め、食用とすることがある。

  (2011.1.24._川口(RFC)_リバーフロント整備センター編(1996)川の生物図典)

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