イタチ

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生物用語集Category:生物用語集:哺乳類

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分布・形態

分布

  • 本州、四国、九州、その他いくつかの島に生息していたが、1930年代からネズミの天敵として八丈島、垣島などに導入され、今日では日本全域に分布。北海道には1880年代後半に侵入、定着した。

  (2010.11.26._川口(RFC)_リバーフロント整備センター編(1996)川の生物図典)


形態・色彩

  • 雄は頭胴長約30~37cm、尾長約15cm、体重が約300~700g。雌は頭胴長約16~25cm、尾長約8cm、体重150~200gである。雌は雄より明らかに小型である。
  • 体形は胴長で脚が短く、尾は太く、指の間に小さな水掻き状の膜がある。夏毛は茶褐色だが、冬毛は全身山吹色になる。顎下は白っぽく、額中央部から鼻鏡部にかけて他と区別できる濃褐色の斑紋がある。
  • 仔は暗紫色の毛色で、口先の白い部分が目立つ。
  • イタチはチョウセンイタチの亜種との見解もある。

  (2010.11.26._川口(RFC)_リバーフロント整備センター編(1996)川の生物図典)


類似

  • チョウセンイタチ(M.sibirica)は1930年頃に阪神地方の養殖場から逃げた個体がもとになって関西地方で分布を広げ、さらに1945年頃、戦後の混乱期に朝鮮半島から船荷に紛れて北九州に侵入し、九州に分布を広げて行ったと考えられている。現在では、西日本の都市部を中心に広く分布しているが、分布の拡大は愛知県・岐阜県・富山県あたりで停滞している(佐々木,1992)。
  • はイタチよりも体が大きく毛が粗く、口の周りの白斑がハッキリ目立つ。また、尾率(尾長÷頭胴長)が、イタチでは0.5以下、本では0.5以上であることで、両者を区別できる。

  (2010.11.26._川口(RFC)_リバーフロント整備センター編(1996)川の生物図典)

生活史

生活行動

  • 年周行動:イタチは一夫多妻制で、雄は繁殖期には数頭の雌と交尾するが、非繁殖期にはほとんど単独で生活する。
  • 仔は雌が単独で育てる。5月頃生まれた仔は生後70~80日で早くも成獣と同じ体重になり、8月頃には雌親と別れて仔供だけで一群となって生活し、10月下旬頃から単独生活に移る。雌雄とも満1年で性成熟する。イタチの寿命は飼育下では雌雄合わせて平均1.4歳、野生個体では平均1.9歳と短命である(佐々木,1992)。
  • 行動・習性:イタチはふつう、行動圏の中に本拠地の穴と、数カ所の休息用の穴を持っている。主に夜行性で、日が落ちると穴から出て活動し、夜が明けると近くの穴に入って休息するが、昼間も活動することがある。ほとんど単独で行動し、藪の中で活動しているため、個体間のコミュニケーションには糞や尿を用いることが多い。肛門の左右に1対の肛門腺があり、糞の排泄時に臭い付けを行なうが、身の危険を感じると、同じ肛門腺からかなり臭い黄色い液を分泌する。

  (2010.11.26._川口(RFC)_リバーフロント整備センター編(1996)川の生物図典)

生育場所

  • 低地の田端や人家の周辺から山岳地帯まで生息するが、中心は平野部の草地で、川沿いなどの水辺を好む。
  • 雌は一定の行動圏を持ち、土穴などを巣としているが、雄はいくつかの雌の行動圏に重なるような行動圏を持つ。行動圏は雌で約2ha、雄で約5haといわれている。行動範囲は広く、1夜のうちに8㎞も移動することがある。

  (2010.11.26._川口(RFC)_リバーフロント整備センター編(1996)川の生物図典)

繁殖

  • 繁殖期:ふつう年1回繁殖するが、九州では年2回繁殖するという報告もある(米田,1994)。年1回の場合は3~5月に交尾し、ほぼ1カ月後に出産する。妊娠期間は約1カ月。授乳期間は40日前後。産仔数はふつう5~6頭であるが、10頭以上のこともある。
  • 繁殖期は暖かい地方ほど早くなる傾向がある。
  • 雄は数頭の雌と交尾するが、育児には関与しない。
  • 繁殖場所:雌は自分の行動圏内の巣で仔を育てる。

  (2010.11.26._川口(RFC)_リバーフロント整備センター編(1996)川の生物図典)

食性

  • ネズミ類、小鳥の卵や雛、昆虫類、カエルなどの陸上小動物のほか、水に入ってザリガニや小魚を捕食することもある。餌の主体はノネズミで、食物全体の50~80%を占める。ときには自分より大きいニワトリやノウサギを襲うこともある。

  (2010.11.26._川口(RFC)_リバーフロント整備センター編(1996)川の生物図典)

配慮のポイント

  • 河川敷草地や土手、河畔林を含む広い範囲が生活圏となっていることが多いので、草地や藪はなるべく自然な状態で残すように配慮する。
  • 河岸積みの穴や土穴を巣として利用しているので、このような場所はコンクリートで固めずに残すようにする。
  • 河川の周辺にはネズミや小鳥のほか、魚、昆虫、カエルなどの餌動物が多いので、これらの生物の生息環境保全も大切である。

  (2010.11.26._川口(RFC)_リバーフロント整備センター編(1996)川の生物図典)

トピックス

  • 狩猟獣として狩られることがある。また、ノネズミを多く捕食するので農林業上有益とされる。
  • チョウセンイタチ:チョウセンイタチはイタチに比べて食物の類が多く、ネズミなどの食べ物に加えてパンなどを食べることもある。
  • また、チョウセンイタチは巣として暖かいところを好み、垣の隙間や藁山の中、さらに町ではグラスウールの断熱材や荷物などにも巣を作る。このような適応能力の強さから、都市部に分布を広げていった。
  • イタチの天敵:かつてイタチの天敵は、オオカミ、キツネ、猛禽類などであった。最近は、天敵が減り、毛皮としての価値の減少から狩猟数も激減している。その反面、自然破壊、農薬の使用による餌の減少と生息環境は悪化している。

  (2010.11.26._川口(RFC)_リバーフロント整備センター編(1996)川の生物図典)

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