アユ

提供: 河川生態ナレッジデータベース

生物用語集Category:生物用語集:魚類

目次

写真

ファイル:ayu18_1.JPG

(写真提供:いであ㈱)

ファイル:ayu18_2.JPG

ファイル:ayu18_3.JPG
(写真提供:㈱建設技術研究所)

分布・形態

分布

  • 両側回遊性のアユは北海道西部以南の日本各地に分布する。奄美大島と沖縄島には別亜種のリュウキュウアユが分布する。

  (2010.1.25._川口(RFC)_リバーフロント整備センター編(1996)川の生物図典)


形態

  • 縄張りをもった個体は全長約180~300mmになるが、縄張りをもたなかった個体はこれと同等か、やや小型である。
  • 背側は青みがかったオリーブ色、腹側は銀白色のスマートな魚で、背鰭の後方に脂鰭がある。口は大きく、両顎が細長く軟らかい唇で縁どられ、噛み合わせの部分にはヤスリのような歯が敷状に並び、についた藻を摂餌しやすい構造になっている。
  • 胸鰭基部の後方に長円形の黄斑があり、背鰭は長く黒みを帯び、脂鰭の先端は鮮やかなオレンジ色を呈する。このような特徴は縄張りをもった個体では特に顕著である。死ぬと全体に黄みを帯びる。

  (2010.1.25._川口(RFC)_リバーフロント整備センター編(1996)川の生物図典)


類似

  • ウグイやアプラハヤは生息水域が重なり、大きさもアユと同様だが、脂鰭がないこと、口が小さく、形も異なることや鱗、体色などで識別できる。

  (2010.1.25._川口(RFC)_リバーフロント整備センター編(1996)川の生物図典)

生活史

生活サイクル

  • 卵から孵化した仔魚は川の流れとともに海に下り、仔稚魚期を沿岸海域で過ごす。春になり海と川の水温差がなくなる頃、河口付近に集合し、群れをなして河川に遡上する。
  • 河川中流から上流域に達すると、縄張り争いの末一定規模の縄張りを確保し、そこを餌場として定着する。縄張りの広さは通常1㎡である。縄張りをもてなかった個体は群れで移動しながら生活する。
  • 8月頃になると、縄張りを解いてなどに集合し、徐々に流下して産卵場に移動する。産卵後はほとんどの個体は斃死する。
  • 生息個体が非常に多く、1㎡に3尾も生息するような年には、縄張りを形成しないことが多い。
  • 稀に湧水域などにまぎれこみ、そこで生息したアユは水温が高いことなどが原因となり性的成熟をせず、川下りもしないまま年を越すことがある。これは「越年アユ」とよばれる。

ファイル:ayu_lifeCycle.gif   (2010.1.25._川口(RFC)_リバーフロント整備センター編(1996)川の生物図典)
生育場所

  • 仔魚は海に降った当初は沿岸域に広く分布し、昼は底層に、夜間は表層に生息する。春になり遡上期が近づくと岸寄りに分布する。
  • 河川に遡上したアユは、中流から上流域の大や岩盤のあるに縄張りを形成して定着する。縄張りは平瀬早瀬およびの一部に形成する。昼はもっぱら縄張り内で摂餌し、夜間は縄張り内やなどで休息する。

  (2010.1.25._川口(RFC)_リバーフロント整備センター編(1996)川の生物図典)

繁殖

  • 産卵期:夏が過ぎて涼風が立つ頃になるとしだいに生殖巣成熟し、川を降り始める。成熟した雌雄は彼岸頃から11月下旬にかけて産卵場に集合する。この頃のアユは体が黒ずみ腹部は赤く、サビアユとよばれる。
  • 産卵場所:中流域最下部の流速の速い砂利底の浅に、多数群がって産卵する。産卵は主に夜間に行なわれる。
  • 雌の産卵回数は通常1回で、産卵数は体長120mmの雌では1~2万粒。卵は強い粘着力をもち、川底の砂利にしっかりと付着し、の層に埋もれて孵化を待つ。
  • 受精卵は水温15℃では約半月、10℃では約1カ月で孵化し、仔魚は川の流れとともに海に降る。

  (2010.1.25._川口(RFC)_リバーフロント整備センター編(1996)川の生物図典)

食性

  • 仔魚海域で卵黄を吸収する前から有機物破片を食べはじめ、成長とともに浮游動物を摂餌するようになる。
  • 稚魚期に入ると、いっそう岸寄りに生息するようになり、半底生性の大型浮游動物を摂餌する。
  • 遡上初期の幼魚はきわめて活発で、水生昆虫や落下昆虫を盛んに摂餌するが、溯上するにつれてしだいに植物食に変化し、付着藻類を摂餌するようになる。
  • つきアユはに付着する藍藻や珪藻を唇でこそげ落として摂餌する。徹底した昼行性で、昼間は休みなく摂餌し、1日の摂餌量は体重の40~50%に達する。
  • 下りアユは摂餌しながら下流の産産卵場向かうが、産卵場に着いてからは摂餌しない。

  (2010.1.25._川口(RFC)_リバーフロント整備センター編(1996)川の生物図典)

他の生物との関係

  (2010.1.25._川口(RFC)_リバーフロント整備センター編(1996)川の生物図典)

配慮のポイント

  • 一生の間に海と河川中流から上流域とを往復するため、などの河川を横断する工作物には適切な魚道が必要である。
  • アユが溯上できる障害物の高さは20~40cm位が限度とされている。
  • アユの生息には早瀬平瀬のある中流域が必要である。の埋め立てやを除去する河床整正を行なうと、生息場所が消失し生息が困難になる。
  • 成魚には縄張りを作る平瀬が必要であるが、たんにブルドーザーでならした人工のでは単純すぎる。採餌・休息場所となるようなの配置をする必要がある。
  • 産卵から孵化期、溯上期の土砂流出には十分に注意をする必要がある。
  • 産卵場所として、中流から下流域に浮の多いが必要で、河川工事を行なう場合、産卵区域となっているところでは細心の注意が必要である。
  • アユの餌となる藻類が繁茂するためには、定期的な出水が必要である。出水は古い付着藻類を掃流し、新鮮な藻が付着できる基盤を露出する働きがある。

  (2010.1.25._川口(RFC)_リバーフロント整備センター編(1996)川の生物図典)

表示
個人用ツール
河川用語解説
河川事業事例アーカイブ・
  調査データ
検索機能について